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健康法を試しても、整った実感が持てないのはなぜか
「新しい健康法を試しても、なんだか続かない」
「体にいいと言われることを一通りやってみたのに、変わった実感がない」
「結局、また元の生活に戻ってしまった」
そんな経験に心当たりがある方は、少なくないはずです。
やみくもに新しい健康法を足す前に、まずは腸内環境を見直してみる。
それが、この記事の結論です。腸は、食べたものを体が使える形に変えて届け、外界から体を守り、脳とも情報をやり取りする、体の「要」です。
この腸内に棲む腸内細菌叢を含めた腸の状態を、この記事では「腸内環境」と呼びます。
食事・便通・睡眠・活動といった日々の生活習慣は、この腸内環境と相互に関わり合っています。
一つひとつの健康法を試すこと自体は悪くありません。
けれど、その仕組みを知り、また、日々の暮らしの中に根づかせていく土台に目を向けないまま続けていくと、変化を実感しにくくなる——これが、この記事で最初にお伝えしたい視点です。
体を整えるなら、まず「受け取る場所」を見直す
睡眠、食事、運動、サプリメント。
体を整える方法は数多くあります。
仕事や家庭の事情で食事の時間が不規則になったり、若い頃からの生活習慣がそのまま積み重なっていたり、50代ともなれば、体との付き合い方の土台はすでに良くも悪くも何年分もできあがっています。
まずは、次々と新しい方法を足す前に、その土台を見直す必要があります。
そこでまず注目するのが消化です。
消化は、口から始まり、胃、膵臓、肝臓、そして腸へと、いくつもの器官が連携して進みます。
中でも小腸は消化の大部分を完了させ、食べ物の栄養素の大部分を吸収して血液を通じて全身へ届ける、消化・吸収の要となる場所です。
つまり腸は、これまで試してきた健康法や食事が、最終的に体へ届くかどうかを左右する「受け取る土台」だといえます。
仮にここが整っていなかった場合、ここを改善しないまま新しい方法を重ねても、なかなか実感にはつながりにくいでしょう。
腸は、食べたものを体へ受け渡す場所
消化は、体に入った食べ物を、体が使える小さな単位に分解する働きです。
米国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)によれば、この過程には口・胃・膵臓・肝臓なども関わりますが、なかでも小腸は消化の大部分を完了させ、食べ物の栄養素の大部分を吸収して血液を通じて全身へ届ける役割を担っています。
つまり、外から取り入れたものを、体が実際に使える形に変えて「受け渡す」最終的な受け皿である以上、腸の状態を軽視はできないのです。
腸は、外界と体の内側を分ける境界
腸にはもう一つ、「境界」としての側面があります。
腸は、食べ物という「外のもの」を体の内側へ取り込む場所である一方、有害なものをそのまま通してしまわないよう、体を守る仕組みも備えています。
NIDDKの研究プログラムでも、腸の粘膜免疫と腸内細菌叢が相互に関わり合いながら、体の状態を保つ働きをしていることが説明されています。
腸は、栄養を受け渡す窓口であると同時に、外界と体の内側を分ける境界でもある・・そう捉えると、腸を整えるという行為の意味が、少し広がって見えるのではないでしょうか。
腸と脳は、互いに情報を送り合う
腸について語るとき、近年注目されているのが、脳との関係です。
米国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、脳と腸のつながりは一方通行ではなく、双方向であると説明しています。
学術誌『Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology』のレビュー論文(Martin et al., 2018)では、神経・内分泌・免疫という複数の経路が、この双方向のやり取りに関わっていることが整理されています。
ヒトを対象とした研究もあります。
健康な女性を対象とした研究(Tillisch et al., 2013)では、研究用に調製された発酵乳製品を4週間摂取したグループで、脳の一部(島皮質中部・一次体性感覚皮質)の活動に変化が見られました。
ただし、この研究は腸内細菌叢そのものの変化を測定したものではなく、脳活動の変化がどのような仕組みで起きたのかも証明していません。
このように、近年腸内環境と脳の関係が注目を集めています。
しかし、その一方で気分の落ち込み、不安、疲労、肌の調子といった個々の不調の原因が腸にあるのか、腸への働きかけでそうした不調が改善するのかも、現時点では証明されていません。
それでも、腸と脳が無関係ではないという土台が研究で示されつつあることを踏まえると、気分や体の不調を「心の問題」「体の問題」と切り分けず、つながりとして見る視点は、とても意味のあることと言えます。
不調が現れた場所だけに、根本があるとは限らない
ここまで見てきたように、腸は栄養を受け渡し、外界との境界を担い、脳とも情報をやり取りしています。
これだけの働きを考えると、体調の変化を感じたとき、まずは腸に目を向けてみる価値は十分にあります。
腸と脳は、互いに影響を与え合う関係にあります。
ということは、肌の調子、気分の浮き沈み、疲れの抜けにくさといった不調も、原因が一つとは限らず、現れた場所だけで完結しているとは限りません。
とはいえ、腸はあくまで、体全体を見直すための「一つの入り口」であり、「唯一の答え」ではありません。
腸を整えれば全ての不調が解決すると言いたいのではなく、腸という入り口から、体の中で何がどうつながっているのかを見直すきっかけにしていただければと思います。
腸活の最初の一歩は、乳酸菌を買うことではない
「腸活」と聞くと、乳酸菌のサプリメントやヨーグルト、腸に良いとされる食品を思い浮かべる方も多いかもしれません。
それらは決して間違った選択ではありません。
しかし、50代ともなると、これまでに試してきた健康法や商品はすでにいくつも積み重なっていて、「今度は何を足せばいいのか」という情報迷子に陥りやすい時期でもあります。
ここであえて言います。
最初の一歩は、商品を買い足すことではありません。
食事・便通・睡眠など、腸と関わる日々の習慣を振り返ることです。
まずは一週間、食事・便通・睡眠・活動・気分を記録してみてください。
原因を決めつけるためではなく、何を続けているのか、自身の傾向を観察するためです。
ただし、記録をすれば腸の状態や不調の原因が分かる、というものではありません。
それでも、目の前の結果だけを追うことをやめ、その裏側で何が積み重なっているのかに目を向けるきっかけにはなります。
なお、不調が長く続く場合や、日常生活に支障が出るほど強い場合は、記録やセルフケアだけで済ませず、医療機関等へ相談することをおすすめします。
乳酸菌をはじめとした腸に関わる食品は、この振り返りの先にある選択肢の一つに過ぎません。
何を選ぶかより先に、まず土台を見る。
それが、次々と健康法を試しては手放してきた50代にとって、10年先の体を左右する一歩になるのではないでしょうか。
人は大人で生まれない。結果も突然生まれない

最近、どうもうまくいきませぬ。仕事も、人間関係も、体調まで。
なぜ悪いことは、こうも重なるのでしょうか

突然、か。

はい。特に何も変わりはなかったのですが……。

貴様は、『慢性炎症』という状態を知っておるか。

慢性炎症、ですか?

例えば腸じゃ。
ストレスや偏った食事で腸内が荒れ続ければ、本来、体内に入るべきでないものまで入り込みやすくなる。すると体は警戒を続け、些細な刺激にも反応しやすくなる。
その結果、一見関係のない肌荒れや不調として、ある日突然、表面化することがある..。

肌荒れの原因が、腸にあるのですか?

腸だけとは限らぬし、まだ全てがそうと解き明かされたわけでもない。
だが、一見関係がないように見えるものが、別の問題となって表に出ることはあるのじゃ。

しかし、昨日までは何ともなかったのですよ。

その日に突然始まったとは限らぬ。
見えぬところですでに起きていたものが、今になって表へ現れただけかもしれぬ。

……すでに起きていた。

そうじゃ。そして、それは人生でも同じではないか。

人生でも、ですか?

うまくいかぬ出来事は、いつも突然起きたように見える。
だが、本当にそうであろうか。飲み込んだ無理。見ないふりをした違和感。処理しきれなかった感情。
それらは一つひとつが小さくとも、積み重なれば日常に混ざり込み、やがて『望まぬ結果』として表に出る。貴様にも覚えがあろう。

目の前の問題だけが、問題ではないと…。

表面だけを整えても、根が残れば、また形を変えて現れる。
見直すべきは、目に見えている『今』だけではない。
もっと手前にある、貴様が無視し続けてきた『小さなズレ』じゃ。

……。

人は大人で生まれぬ。結果もまた、突然生まれはしないということよ。
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腸内環境を見直す前によくある質問
腸は栄養・免疫・脳とつながる体の要の一つですが、疲れや肌荒れの原因は一つとは限りません。腸だけを整えれば必ず改善すると言い切ることはできず、生活全体を振り返る視点の一つとして捉えることをおすすめします。
腸には粘膜免疫という仕組みがあり、腸内細菌叢と相互に関わり合っていることが研究で示されています。ただし、腸を整えることが免疫力の向上を保証するものではありません。
腸と脳が神経・内分泌・免疫の複数の経路を通じて双方向に情報をやり取りしていることは、研究で示されつつあります。ただし、個々の不調の原因が腸にあるのか、腸への働きかけで症状が改善するのかは、まだ証明されていません。
まずは新しい健康法を追加する前に、直近1週間の食事・便通・睡眠・活動・気分を記録し、何を続けているのか、自身の傾向を観察することから始めてみましょう。
記録そのもので原因や腸の状態が分かるわけではありませんが、目の前の結果だけを追うことをやめ、その裏側で何が積み重なっているのかに目を向けるきっかけになります。
不調が長く続く、または強い場合は、医療機関等への相談もあわせてご検討ください。
参考資料・論文
- NIDDK「Your Digestive System & How it Works」 https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/digestive-system-how-it-works
- NIDDK「Gastrointestinal Microbiology & Infectious Diseases」 https://www.niddk.nih.gov/research-funding/research-programs/gastrointestinal-microbiology-infectious-diseases
- NCCIH「4 Fast Facts about the Gut-Brain Connection」 https://www.nccih.nih.gov/news/events/4-fast-facts-about-the-gutbrain-connection
- Martin CR, et al. “The Brain-Gut-Microbiome Axis.” Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2018. PMID: 30023410 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6047317/
- Tillisch K, et al. “Consumption of fermented milk product with probiotic modulates brain activity.” Gastroenterology. 2013. PMID: 23474283 DOI: https://doi.org/10.1053/j.gastro.2013.02.043
乳酸菌サプリの選び方
腸を整える具体的な選択肢の一つに、乳酸菌があります。
次の記事では、菌株や菌数、生菌と加熱処理菌の違いなど、乳酸菌サプリを選ぶ際に知っておきたい基準について詳しくご紹介します。
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この記事の著者
Towards Tomorrow代表
エキスパート・ファスティングマイスター/健康美容食育士2級(Advance)/ウェブ解析士
50代からの心と体の整え方を、自身の実践経験をもとに発信しています。
ファスティングと食育の両軸で、食欲・体質・生活習慣を整えるアプローチを研究・実践中。
このブログでは、迷いや後悔を抱える自分自身を「弱いもののふ」として表現しながら、完璧ではなくても整え直せる健康習慣についてお伝えしています。

加藤 剛
Tsuyoshi Kato
本記事は健康に関する一般的な情報を提供するものです。医療的な診断・治療を目的としたものではありません。体調に不安がある方、持病がある方、服薬中の方は、自己判断で行わず、事前に専門家へ相談してください。
